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お知らせ一覧はコチラ2025年01月20日
従来の医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらがお得?
今回は、確定申告の所得控除の項目の一つ、医療費控除について考察してみます。
まず、医療費控除の概要について確認すると、
自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族(扶養から外れている方もOK)のために
医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、
その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けられるという内容になっており、
控除額の計算式は次のようになっております。
医療費の合計額-保険金などで補填された金額があればその金額-100,000円
=医療費控除額(上限2,000,000円)
※保険金は、給付の目的となった医療費の金額を限度とし、引ききれない金額があっても他の医療費からは引かない。
ちなみに、計算式の最後の100,000円については、厳密には総所得金額等が2,000,000円未満の場合、総所得金額等×5%で計算することとなっておりますが、2023年の厚労省の国民生活基礎調査によれば、約80%の人が総所得金額等2,000,000円以上であるため、大半の方は年間の医療費が100,000円以上あれば、医療費控除を検討する余地があります。
一方、2017年より新しい制度として、セルフメディケーション税制が導入されました。
概要としては、健康増進および疾病の予防への取り組みを行っていること
(具体的には勤務先の定期健康診断、メタボ等の特定保健、がん検診などを受けていること)を条件に、
ドラックストアなどで購入したOTC(Over The Counter)医薬品の購入額が
年間12,000円を超えた部分の金額について所得控除が受けられるという内容で、計算式として表現すると次のようになります。
OTC医薬品購入費の合計額-保険金などで補填された金額があればその金額-12,000円
=医療費控除(上限88,000円)
※ドラックストア全ての医薬品がOTC医薬品ではなく、OTC医薬品かどうかは商品の識別マークを確認するか、お店に確認する必要あり。
※従来の医療費控除と異なり、医療機関での自己負担額(入院費用など)は計算に含まれない。
※定期健康診断、メタボ等の特定保健、がん検診などを受けた明細書が必要。
この2つの制度は選択適用で、どちらか一方を選択することとなり、
選択後の更生の請求や修正申告により、選択を変更することはできません。
どちらがより有利になるかは、ケースバイケースではありますが、
仮に、購入したOTC医薬品が医療費控除&セルフメディケーション税制の双方の対象商品であり、
高額療養費制度や民間保険金の
補填などがない前提で考えると、目安として
1)OTC医薬品の購入金額と医療機関での自己負担の合計額が年間100,000円未満
⇒セルフメディケーション税制の利用を検討(従来の医療費控除では控除額0円)
2) OTC医薬品の購入金額と医療機関での自己負担の合計額が年間188,000円を超える
⇒従来の医療費控除の利用を検討
3) OTC医薬品の購入金額と医療機関での自己負担の合計額が年間100,000円以上188,000円以下
⇒個別検討