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お知らせ一覧はコチラ2021年05月06日
事前確定届出給与の判定について
事前確定届出給与とは、役員に対して所定の時期に所定の金額を支払うという旨を定めて、事前に税務署に届出をして支払う給与のことをいいます。本来役員賞与は利益処分である性格を有することもあり、原則損金不算入でしたが、平成18年度税制改正により、事前に税務署に届出られた役員賞与については損金算入を認めることとなりました。
今回、事前確定届出給与の判定基準として、過去の事案を取り上げ、注意点をご紹介します。
〇 届出額と異なる支給をした場合
甲社は、役員賞与について冬季・夏季賞与について、事前確定届出給与届出書を期限内に提出していました。しかし同一の事業年度において、冬季賞与は届出どおり200万円を全額支給しましたが、夏季賞与においては、業績悪化を理由に届出額(200万円)を下回る50万円を支給しました。なお、甲社は夏季賞与の減額について、事前確定届出給与に関する変更届出を税務署長に提出していませんでした。
この場合、同一の事業年度において支給した合計250万円全額損金不算入になる可能性が高いです。事前確定届出給与は事業年度単位ではなく、職務執行期間を1個の単位として判定しますので、職務執行期間中に1回でも事前の届出どおりに支給されなかったものがあるときは、変更届を提出していない限り、事前の届出通り支給されていないとみなされ、損金不算入と考えられます。
〇事業年度をまたいでいる場合
例えば、3月決算法人で、5月の定期総会において10月と4月に賞与を支給する旨の届出を出したが、翌期の4月は業績悪化により届出額より減額して支給した場合です。
国税庁の質疑応答事例では、本件に対し、翌事業年度で届出どおり支給しなかった場合、直前の事業年度の課税所得に影響を与えるようなものではないことから、翌事業年度に支給した役員賞与のみ損金不算入とすればよく、直前の事業年度に支給した役員賞与については、損金算入を認めています。
事前確定届出給与は役員賞与の損金が認められるメリットがある分、資金繰りに困っていても支給する必要があること、かつ、事業年度ごとに事前の届出をしなければならないデメリットがあります。